VOICE DRAMA SCRIPT
そして私は、世界の終わりで星を見上げた
隕石による世界の終わりを前に、公園で星を見上げる二人の親友。思い出と感謝を交わす、最後のひととき。
上演のご案内
【人数】2人(女性)
【時間】5分程度
本文
〇「世界、終わっちゃうね。」
■「……そうだね。」
〇「こーんなにあっという間に終わるもんだね!」
■「ほんとに。わかってから早かった。」
〇「隕石落ちるの確定!ってなってから早かったねぇ。」
■「公共交通機関が止まって」
〇「ガスも電気も止まって」
■「国のお偉いさんが中継中に泣いて逃げて。」
〇「あれは申し訳ないけど面白かったなぁ。」
■「……まぁそのせいで国としての機能もなくなってさ。」
〇「どこの国も似たようなもんらしいよー」
■「だろうねぇ。」
〇「でもさぁ。」
■「ん?」
〇「星は綺麗、だよ。」
■「……まぁね。」
〇「あの頃よりよく見えるねぇ」
■「電気ないからね。」
〇「こんなにも世界って綺麗だったんだねぇ。まぁ、もう終わるんだけど。」
■「もう少しロマンチックに感傷に浸る気は?」
〇「ないよぉ、そんな余裕ないんだから。なんとかこう、現実を笑い話にすることで正気をたもってるんだからさぁ。」
■「そんな気はしてた。無理しなくていいのに。」
〇「いや!最後まで笑ってるって決めたの!」
■「そう。あんたらしい。」
〇「えへへ。」
■「しかし、こんな薬なぁ。」
〇「なんていうんだっけ、救済の薬?」
■「それはどっかの危ない団体がつけた名前。本当は安楽死用の薬らしいね。」
〇「ふぅん。」
■「もう飲んだんでしょう?どうなの。」
〇「ねむい。」
■「だけ?」
〇「だけ。」
■「眠くなってそのままか、悪くはないね。……みんなどうせ死ぬからってこれ配る国の頭はよくない気はするけど。」
〇「私はよかったと思う、よ。だって怖いもん、待つだけ、なんて。」
■「だいぶ眠いね。」
〇「うん。でももう少しはなしたい。さいごだから。」
■「そうだね。最後だから。」
〇「……昔さ、みんなであそんだよね。このこうえんで。」
■「うん、遊んだ。」
〇「あなたに声かけたの、わたし、だったね。」
■「そう、本、読みたかったのに無理やり。」
〇「……嫌だった?」
■「嬉しかったよ」
〇「ほんとぉ?よかった」
■「危ないから、私の膝で寝なよ。」
〇「うん。あいがとぉ。……みんな先いっちゃったね。」
■「うん。」
〇「母さんも父さんも先にいっちゃった。」
■「それなんだけど、どうして一緒にいかなかったの?」
〇「だって、きみが、さみしい、かなって。」
■「それはどうも。」
〇「でもやっぱりこわくて。……きみはまだいてくれてよかった。」
■「いるよ。寂しがりなあんたのために。」
〇「ふふっ、うれしい。」
■「でも酷いよ。いっしょに薬は飲むなって。」
〇「だってぇ、私のわがままで、きみの、いのちが」
■「どうせみんな死ぬんだから変わんないのに。」
〇「あと、死ぬまでいてほしかった。……先にそっちが薬効いちゃったら、さ。」
■「まぁ、確かに。」
〇「うん、ごめ…」
■「眠いね。」
〇「うん……ねぇ。」
■「なに?」
〇「わたしと、さ。」
■「うん」
〇「なかよく、してくれて」
■「…うん。」
〇「であって、くれて」
■「……うん。」
〇「ありがと、ね。」
■「こちらこそだよ。」
■「天国があるかないかわからないけど、そっちで会えたら、また、一緒に……。」
■「……もう、いったか。」
■「さて。」
■「寂しがりやを見届けたことだし、私も行くか。」
■「どうせあっちでも寂しがってるだろうしね。」
■「じゃあ、おやすみ。私の親友。」